●チック
(男女不問)
一人称:僕
楽観主義、何とかなると思ってる。
チーズが大好き。
金色の懐中時計が宝物。
ひらめきが得意。
他の鼠より長いしっぽがトレードマーク
探偵を目指している。
タックは友人兼助手だと思ってる。
●タック
(男女不問)
一人称: 俺
現実主義で心配性であわてんぼう
昔ねこにしっぽを半分かじられて
猫が大嫌い。
茶色のハンチング帽を被ってる。
夢は探偵になること。
チックは友人兼助手だと思ってる。
ジャンル:ファンタジーコメディー
時間:約20分
男女比:男:0 女:0 不問:2
0:タイトルコール
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チック:チックタックと!!!
タック:海のバケモノ!!!!
:
:
:
0:大海原、小さな船が一隻。
0:船の上でネズミのタックが右往左往して声を荒げている。
:
タック:おい!チック!どこに行ったんだい!
タック:おーい!どこに行ったって言うんだチック!まったく!
タック:こんな海のど真ん中で置いてけぼりなんてよしておくれよ、チック!
:
0:すぐ近くの波間から、チックが頭をひょこり出して言葉を返す。
:
チック:タック、何をそんな大声をあげているんだい?
チック:僕はさっきからここにいるさ!
:
タック:な、なんでそんなところにいるんだいチック!
タック:海にゆられてプカプカなんて、危ないぞ!
タック:はやく船に戻ってくるんだ!
タック:ほら、ロープを垂らすから、早くつかまるんだ!
:
チック:なんだいタック、そんなおびえ切った顔をして
チック:もしかして、君
チック:海が怖いんじゃないかい?
:
タック:お、俺が海が怖いか怖くないかはこの際棚に上げて
タック:とりあえず早くロープにつかまっておくれよ!
タック:海には、さ、サメがいるかもしれないんだ!
タック:俺たちみたいなちっこいネズミなんて、丸のみなんだからな!
:
チック:そりゃあ、タック
チック:海にはサメもいるだろうさ、
チック:クジラもいれば、もっと大きなバケモノがいるかもしれない
:
タック:君が食べられてしまったら俺は悲しいぞ!
タック:俺を悲しませないでおくれよ!
タック:ほら、早くロープにつかまるんだ!
:
チック:まったく、しょうがないなあ、タックは。
チック:まだ僕は目的を果たしていないというのに……
:
タック:チック! 泳ぐチーズなんてあるわけないんだ!
タック:君はいつもそうだ、信ぴょう性のうすい情報に振り回されすぎなんだよ!
タック:そ、それに
タック:クジラより大きなバケモノなんているわけないじゃないか!!
:
チック:バケモノがいるいないはわからないにしろ
チック:タック、よく聞いておくれ
チック:泳ぐチーズは存在するんだよ、この広い世界のどこかにね
:
タック:わかった、わかったから、ひとまず早く、船に上がるんだ
タック:気が気じゃないんだよ、きみがそんなところで浮いていると
タック:今にもサメに丸のみにされるんじゃないかってね
タック:チック、君が俺の目の前でサメに食べられるところを想像してしまうんだ
タック:早く、のぼってきてくれ!
:
チック:まったく、しょうがないなあ、タックは……
チック:よいっしょっと。
:
0:チック、えっこらよっこらとロープを登る。
0:さっきまでチックが浮いていたところにサメがバクっとくる。
:
タック:わああああ!!サメが!
タック:チック!チック!大丈夫かい!
:
チック:これはびっくり、さすがの僕でも驚いたよ、タック!
チック:危機一髪のところだったね、やっぱり僕は運がいいみたいだ。
:
タック:し、心臓が爆発するかと思ったよ。
タック:あと少し遅かったら、君は今サメのおなかの中で途方に暮れていただろうね
タック:ああよかった、君はどうにか食べられていないみたいだ。
:
チック:タック、君は少し心配性すぎるんじゃないかい?
:
タック:違うよチック!
タック:君が用心しなさすぎなんだよ!
タック:もうちょっと、いや、もっともっと、君は気を付けたほうがいい!
:
チック:そんなに気を張りすぎていると
チック:早死にしてしまうし、おいしくチーズも食べられやしないよ。
チック:きっと、サメに食べられても僕なら何とかなっただろうね!
チック:もしかするとあのサメのおなかのなかに、泳ぐチーズがあったかもしれないじゃないか
:
タック:君のマイペースにはあきれたものだね、チック。
タック:その、泳ぐチーズってやつの話、俺は詳しくないんだけど
タック:いったい何なんだい?
タック:こんな危険をおかしてまで手に入れる価値のあるものなのかい?
:
チック:タック! なんてことだ、タック!
チック:君は泳ぐチーズの価値を知らないのかい?!
:
タック:知らないね!
タック:チック、君が命をかけてでも欲しい理由もわからない!
:
チック:タック、僕といえど、簡単に命なんかかけやしないよ。
:
タック:チック!
タック:君はさっき死にかけたんじゃないのかい!
タック:サメに食べられそうになったんだ!
:
チック:まあ、それは結果論と言うやつだよ!
チック:自らサメの口の中に飛び込んだわけではないしね!
:
タック:ふに落ちないけど、チック、とりあえず
タック:君の口から、その泳ぐチーズってものについて教えてくれないか?
タック:俺たちはどうして海のど真ん中にいないといけないんだい?
:
チック:タック、よく聞くんだよ
チック:泳ぐチーズって言うのは、生き物なんだ。
:
タック:チーズが生き物!?
タック:それはどういう事なんだ! チーズが俺たちみたいに
タック:しゃべったり泣いたり怒ったりするって言うのかい?
:
チック:いやいや、生きていると言っても
チック:自我があって、コミュニケーションが取れるというわけではない。
チック:タック、さすがの僕でも、チーズが食べないでくれと泣きながら懇願してきたら
チック:食べるのをしぶしぶあきらめるさ。
:
タック:しぶしぶなんだね……
タック:じゃあ、生きたチーズって言うのはどういう事なんだい?
:
チック:それはねえ、タック、聞いて驚くんじゃないぞ?
:
タック:……ごくり
:
チック:生きたチーズって言うのは……!
:
0:大きな影が差す。
0:とんでもなく大きな生き物が、口を大きく開けて
0:船を丸ごと飲み込もうとしてくる。
:
タック:ち、ち、ち、チック! チック!
タック:チーーーック!!!!
:
チック:む。
チック:なんだいタック、話をさえぎって、大きな声を出して!
:
タック:チック! 大変なことになった! チック!
タック:大変なことだ! これは大変だよチック!
:
チック:まったく、しょうがないネズミだなあ、君は。
チック:いったい何が大変な事なんだい!
チック:ちょっとやそっとの事で大騒ぎなんだからなあ、タックは。
:
タック:チック!
タック:これは、ちょっとでもそっとでもないぞ!
タック:ビッグだ! とってもビッグだ!
タック:ああああ!! もうおしまいだあ!
:
チック:な、なんだいタック、本当にただ事じゃなさそうだぞ
チック:いったいどうしたというんだい、ほら、言ってみておくれよ。
:
タック:ち、チック、後ろだ、後ろを振り向くんだ。
:
チック:後ろ?
チック:また、海にサメでもいたのかい?
チック:よっと……どれどれ
:
タック:も、もうだめだ、もうおしまいだあ。
:
チック:わああああああああああ!!!
チック:タック! なんだいコイツは!
チック:この大きな口を開けてるバケモノみたいな生き物は何だい!
チック:く、クジラの100倍くらいは大きいんじゃないか!!!
:
タック:チック! 君が知らないことを俺が知るわけないじゃないか!
タック:君がさっき言っていた、クジラより大きな生き物なんじゃないのかい!
タック:俺はどうしたらいい! どうしたら逃げられるんだい!
:
チック:さっきのは君を驚かすための出まかせさ!
チック:ほ、本当にこんな、ドでかいバケモノがいるだなんて思わないだろう!
チック:このままじゃ、船ごと丸のみだあ!!
:
タック:た、大変だー!
タック:大変なことになった! これは大変なことだ!
タック:チック! どうしよう! 足が震えて動かないよ!!
:
チック:タック! 落ち着くんだ! 落ち着けば大体のことはどうにかなるんだ!
チック:こういう時は、そうだ、目をつむって深呼吸だよ!
チック:そうだ、おいしいチーズを食べよう。
チック:そしたらきっと何かいい考えが浮かぶはずさ……もぐもぐ
:
タック:チック! もう時間がないよ!
タック:ほら、俺がこっそり隠しておいた自分用のなけなしのチーズもあげるから
タック:何かいいアイデアを思いついておくれ!
:
チック:おお!
チック:タック! 君、そんないいものを隠し持っていたのかい!(もぐもぐ
チック:ありがとう! これはとってもいいものだ!(もぐもぐ
:
タック:チック! チック!
タック:現実逃避のためにチーズを譲ったわけではないからな!
タック:な、何かいいアイデアを……!!
タック:わああああああ!!!
:
チック:タック、僕はとても幸せだ
チック:こんなにおいしいチーズを食べながら、食べられるのだから。
チック:まるで、マトリョーシカみたいだね。
:
タック:チックゥゥゥゥゥゥゥゥウウ!!!
タック:あきらめないでおくれよおおおおお!!!!
タック:ぎゃああああ!!! 飲み込まれるうううう!!!!
:
0:船はチックもタックも乗せたまま
0:バケモノの口の中に入ってしまう。
:
チック:タック、もうバケモノの口の中さ
チック:じきに僕たちは飲み込まれる。
チック:噛まれないだけ幸せだと思おう、これが猫に食べられるとかだったら
チック:きっともっと痛い思いをしただろう。
チック:僕たちは幸せさ。
:
タック:な、なんでそんなに冷静なんだいチック!!!!
タック:し、死んじゃうかもしれないんだぞ!!!
:
チック:あーーー! あーーーー!
:
タック:な、なんだいチック……
:
チック:バケモノの口の中、声が響いて面白いよ、タック。
チック:ほら、君もやってみるといい。
チック:あーーー! あーーー!
:
タック:あーーーー!
タック:響くけど! これがどうかしたのかい!?
:
0:意味深な表情で、チックはタックを見る。
:
チック:……タック。
:
タック:なんだい、チック。
タック:ど、どうしたのさ。
:
0:チック、すこし照れ臭そうに微笑みながら
チック:…………
チック:いつも、僕のわがままに付き合ってくれて
チック:――ありがとうね。
:
タック:な、なんだよチック!
タック:まるで死んじゃうみたいじゃないか!
:
チック:さあ、飲み込まれるよ、タック。
チック:ほら、このチーズを君にあげるから
チック:一緒に食べようじゃないか(もぐもぐ
:
タック:チック、ありがとう。
タック:でも、これはもともと俺のチーズだよ。(もぐもぐ
:
チック:目を閉じよう、タック。(もぐもぐ
:
タック:そ、そうだね、チック。(もぐもぐ
:
:
0:間
:
:
0:真っ暗闇の中
0:恐る恐る確かめるように
0:2匹の声が響く。
:
チック:タック、タック、聞こえるかい?
:
タック:チック、チック、き、聞こえるよ。
:
チック:僕たちはどうやら、飲み込まれてしまったみたいだ。
:
タック:そ、そうみたいだねチック。
タック:ね、ねえ。
タック:もう目を開けても大丈夫かな。
:
チック:僕はもう開けているよ、タック。
チック:でも、真っ暗で何も見えやしない。
:
タック:律儀に目をつむっていた俺がバカみたいじゃないか、チック。
タック:でも本当だ、真っ暗で何にも見えない。
:
チック:タック、船のライトをつけてみよう。
チック:ええと、どのあたりにあったかな。
:
タック:チック、それなら俺がつけてこよう。
タック:あまりにバケモノが大きすぎるせいで、まだ海を漂ってるみたいだ。
タック:おもったより怖くないぞ、苦しくもないし、まだ大丈夫みたいだ。
:
チック:タック、足元に気を付けるんだよ。
チック:君はおっちょこちょいだから、慎重にね。
:
タック:わかっているさ。
タック:でも、ライトをつけるくらい簡単さぁ!
タック:ええっと、これだな……わあ!(どんがらがっしゃーん!
:
チック:ほうら、言わんこっちゃない……!
チック:まったく、タックはあわてんぼうだなあ。
:
タック:痛ったたた……!
タック:でも、ライトはついたはず……!
:
チック:た、た、タック。
チック:タック、これは、大変だ。
:
タック:なんだいチック
タック:君が大変だなんて、珍しいじゃないか。
:
チック:タック、大変なんだ。
チック:僕は夢を見ているのだろうか。
チック:もしかして、タック。
チック:僕はもう死んでいて、ここは天国なのかもしれない。
:
タック:な、なにを言っているんだいチック!
タック:君は生きているさ! もちろん俺も生きている!
タック:しっかりしてくれ! い、いったいどうしたんだい!
:
チック:タック、ほら、ライトに照らされたバケモノの胃の壁を見るんだ
:
タック:そ、そんなの、俺、見たくないぞ。
:
チック:いいから、タック。
チック:すぐそこだ、見ておくれよ。
チック:僕の目が、間違っていないか確かめてほしいんだ。
:
タック:そ、そこまで言うなら、見てあげるよ、チック。
タック:ええと、どれどれ……
タック:……え?
:
0:2匹の目の前に広がっている景色は
0:一面に広がる、チーズでできた壁、壁。
0:バケモノの胃の壁面は、チーズでできていたのだ。
:
チック:タック、僕の目には
チック:バケモノの胃の壁面が、チーズに見えるんだけど
:
タック:チック、俺の目にも、チーズに見える。
タック:壁のすべてが、チーズでできているんじゃあないか!?
:
チック:この、むせ返るようなにおい……
チック:胃液か何かの匂いだと思っていたけれど
チック:タック、この匂いは、チーズの匂いだ。
チック:この胃の中は、チーズの匂いで充満している。
:
タック:チック、君が言っていた、泳ぐチーズって……
タック:生きているチーズって、もしかして……!
:
チック:タック! そうだ! この海のバケモノは
チック:丸ごとチーズなんだ!
チック:これが泳ぐチーズなんだ! なんてバカでかいんだ!
チック:僕たちは、チーズに食べられてしまっていたんだよ!!!
:
タック:そ、そんなバカげた話があるのかい?
タック:チーズに食べられるネズミなんて、そんなバカげた話……
:
チック:タック!
チック:そうさ! 僕たちはネズミなんだ!
チック:チーズに食べられてだまっていられるか!
チック:僕たちで食べてやろう!
チック:も、もう、僕は、よだれがあふれ出て仕方ないのさ!
:
タック:そうだね、チック!
タック:食べて食べて、穴をあけていけば、きっと外にも出られるはずさ!
:
チック:ようし!
チック:そうと決まれば、壁に飛び移るよ! タック!
チック:準備はもうできているよね!
:
タック:も、もちろんさ!
タック:いつでもいいぞ! 飛び移ろう!
:
チック:いち!
:
タック:にの!
:
チック:さーん!(ぴょん!
タック:さーん!(ぴょん!
:
0:2匹はチーズの壁に飛び移ることができる。
:
チック:ようし、うまく飛び移れた!
チック:タック! あとは食べるだけだ!
:
タック:チック! 俺はこんなに、チーズが食べれることを幸せに思ったことはないよ!
:
チック:タック!
チック:僕も同じさ!
チック:まだこれからも、君とチーズが食べられると思うと
チック:とってもワクワクするんだ!
:
タック:チック!
タック:それじゃあ、さっそくいただこう!
:
チック:そうだね、タック!
チック:いただきます!
チック:ばくっ!(もぐもぐ
:
タック:それじゃあ俺も……!
タック:ばくっ!(もぐもぐ
:
チック:とろっとろだよ、タック。
チック:カマンベールチーズみたいだ!
チック:外は少し硬いけど、ちょっと食べれば、中はとろとろだ……!
:
タック:そうだね、チック。
タック:鼻の奥底を、くすぐってくる濃厚なチーズの香りが
タック:全身を駆け巡って……
タック:一口食べると、俺の小さな脳みそが
タック:びりびりってしびれるんだ!
タック:おいしいよ、おいしいよチック。(もぐもぐ
:
チック:僕もそうさ!
チック:舌の上に乗せたとたん、目の前が揺らぐくらいの風味が
チック:頭を揺さぶってくる!
チック:これでもかってくらい、このとろっとろのチーズが
チック:僕をおぼれさせようとしてくるんだ!(もぐもぐ
:
タック:チック!
タック:しっかりするんだ!
タック:チーズに溺れるなんて、君らしくないぞ!
タック:食べよう! この絶品なチーズを食べきって
タック:外に出るんだ!(もぐもぐ
:
チック:そうだね、タック。
チック:君の言うとおりだ。
チック:チーズに溺れてたんじゃあ、僕の名が廃るよ!
チック:どんなチーズでも、僕は食べてやるんだ!
チック:――この世のチーズは、全部僕のだ!(もぐもぐ
:
0:二匹が食べ進めていくと、ついに光が差し込んでくる。
:
タック:チック、外だ!
タック:外が見えてきたぞ! 大海原だ!
:
チック:もう外についてしまったのかい!?
チック:タック、僕はまだ食べ足りないみたいだ!
:
タック:チック! そんな無茶な!
タック:なんどバケモノの体の中を行ったり来たりしたと思っているんだい!?
タック:さすがにもう、俺はおなかぽんぽこだよ!
:
チック:タック、君はまだまだだね。
チック:僕は、まだまだたくさん入りそうだよ!
:
タック:このバケモノを全部食べたら
タック:チック、君もこのバケモノと同じ大きさになってしまうよ?
タック:そうなってしまったら、もう俺と一緒にいる事はできないだろうね。
:
チック:タック、そんないい方は卑怯じゃないかい?
チック:まったく、じゃあこの辺でやめて、外に出てあげようかな。
:
タック:ほら、チック。
タック:見てごらんよ。バケモノのてっぺんだ。
タック:ものすごく高いね、雲よりも高いよ!
タック:海が向こうの方まで見える!
:
チック:本当だね、タック。
チック:でも、どうやって陸に戻ったらいいんだろうなあ。
チック:なにかいい考えはあるかい?
:
タック:チック、よく聞いてくれたね。
タック:俺にいい考えがあるんだ。
:
チック:めずらしいじゃないか、タック!
チック:君が考えを持ってるなんて、とっても珍しいことさ!
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タック:チック、俺は今、もしかしてバカにされたかい?
:
チック:そんな、相棒をバカにするはずがないだろう?
チック:それで、いったいどんなアイデアがあるんだい、タック!
:
タック:ほらそこ!
タック:海鳥が飛んでるだろう?
タック:あれは……かもめかな?
:
チック:タック、カモメ航空のやつらの手を借りるっていうのかい?
:
タック:カモメ航空に頼むわけじゃないさ!
タック:ちょっと乗っけてもらうだけだよ!
タック:なあに、きっと気付かれやしないさ!
タック:こんなちっぽけなネズミ2匹くらい!
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チック:無賃乗車は良くないぞ! タック!
チック:でも、今は仕方ないか!
チック:降りた後で少しチーズをおすそ分けすれば許してもらえるだろうね!
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タック:よし、それじゃあ行くよ、チック!
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チック:いいよ、タック!
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タック:いち!
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チック:にの!
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タック:さーん!
チック:さーん!
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0:飛び移られたカモメは、顔をしかめて首を後ろに向ける。
0:2匹の腹を膨らませたネズミが無賃乗車をしてきたことに腹を立てるが
0:すぐそばにいる巨大なバケモノの姿を目撃して、一目散に逃げだした。
0:バケモノは、さんざん食べられたというのに、気にすることなく、ゆっくりと海の中に沈んでいく。
0:カモメ航空第13便のニッカは、この2匹が少し前
0:月を食べたネズミだと、その特徴からピンときた。
0:背中で疲れて眠る2匹を、起こさないように空を飛びながら
0:管制塔にいる仲間のポッカのもとへと飛んで行った。
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0:-おしまい- (つづく)
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