台本

「チックタックと七夕の願い事」(0:0:2)

■登場人物■

●チック
(男女不問)
一人称:僕
楽観主義、何とかなると思ってる。
チーズが大好き。
金色の懐中時計が宝物。
ひらめきが得意。
他の鼠より長いしっぽがトレードマーク
探偵を目指している。
タックは友人兼助手だと思ってる。

●タック
(男女不問)
一人称: 俺
現実主義で心配性であわてんぼう
昔ねこにしっぽを半分かじられて
猫が大嫌い。
茶色のハンチング帽を被ってる。
夢は探偵になること。
チックは友人兼助手だと思ってる。

●あらすじ●

7月7日……七夕の夜。
食いしん坊のネズミ、チックは、願い事を書いた短冊を
笹のてっぺんにつけようと、笹を登っていました。

臆病者のネズミ、タックは、チックに危ないと声をかけます。
チックは、タックの言う事をきかず、ずんずん笹の上に登っていき……

ロマンチックで、ユーモラスで、ちょっぴりおバカな
七夕と、願い事を巡る、絵本風カートゥーンコメディ!

「チックタックと七夕の願い事」

ジャンル:ファンタジーコメディー
時間:約20分
男女比:男:0 女:0 不問:2

 : 
0:タイトルコール
タック:「チックタックと!」
チック:「七夕の願い事!」
 : 
0:間
 : 
0:ハンチング帽を被った、あわてんぼうのネズミ、タックが
0:相棒の食いしん坊ネズミ、チックを探しているようです。
 : 
タック:おーい!チック!
タック:チック!おーい!チックってば!
タック:どこだーい!チックー!
 : 
チック:うんしょ……よいしょ……
チック:タックぅ!騒がしいよ……!
チック:よいしょ……!
タック:チック?あれ、チックの声がするのにチックがいないよ!
チック:僕はここさ……!
タック:どこだい?
タック:声がすぐ近くなのはわかるんだけど……!
チック:ほら、近くに七夕の笹があるだろう?
タック:笹?
タック:あ、これの事かい?
タック:ずいぶん大きな笹だね、わあ、たくさんの短冊がぶら下がってる!
タック:色とりどりできれいだねえ。
チック:僕は……よいしょ。
チック:その笹の上の方さ……!
 : 
0:タックが上を見上げると、笹の上の方がしなっているのが分かりました。
0:目を凝らしてみると、チックのぽってりとした体が懸命に
0:笹をよじ登っているのが分かります。
 : 
タック:わあ!これは大変だ!大変だ!
タック:ち、チック!どうして!なんだってそんなところに登っているのさ!
タック:君は登るのは苦手なんだから、危ないよ!
チック:大丈夫さ!こんな笹くらい……よいしょ……
チック:僕にかかれば……へっちゃらさ……!
タック:チック!チック!降りておいでよ!
タック:笹がしなってるよ!きっと重すぎるのさ!君の体重が!
チック:タック!君はひどいことをいうネズミだ!
チック:せっかく僕が、願い事の短冊を
チック:一番高いところに結んで、叶いやすくしようとしてるってのに!
タック:チック!高いところに結べば叶いやすいなんてことないんだよ!
タック:そのあたりで結んで、降りてきなよ!
タック:チック!君のことだから、
タック:どうせ「おいしいチーズを山ほど食べられますように」って願い事だろう!?
 : 
チック:タック!全く君は!失礼なネズミだなあ!
チック:君が僕のことをどう思ってるかはよーくわかったよ!
チック:ふんだ!(ぷいっ)
チック:意地でも、てっぺんに結んでやるう……よいしょ……!
 : 
0:チックは、意地を張って、ずんずん上へと登っていきます。
 : 
タック:わわわ!待っておくれよチック!
タック:俺が悪かったから!降りてきておくれよ!
タック:大変だ!大変だ!
タック:チックが笹を登るたびに、どんどん笹がしなってくる!!
チック:うんしょ……よいっしょ……!!
 : 
0:チックが、色とりどりの短冊を押しのけながら
0:笹の上まで上っていくと
0:笹が、どんどんしなって、曲がっていきました。
 : 
タック:ああ!大変だ!大変なことになった!
タック:チック!危ないよお!俺は君が心配なのさ!
 : 
チック:よいしょっと……!
チック:よし、この辺でいいだろう!
チック:……えい、えい、よっと!
チック:ようし、結べたぞー!
チック:下にいるタックに自慢してやろう!
チック:おーい!タックー!見てるかい!結んだよー!
タック:チック!
チック:あれ?タック?
チック:なんで君が、僕の目の前にいるんだい?
タック:君の体重で、地面すれすれまで笹がしなってるのさ!
チック:なんてこった!
タック:ほら、短冊をくくりつけたのはちゃんと見たから!
タック:この手をつかんで、早く降りるんだ!
タック:笹がばいーん!って戻ったら大変だ!
タック:きっと飛ばされちゃうだろう!
チック:そんなの大丈夫さぁ!
チック:まったく、タックは臆病者で心配性だなあ!
チック:でも、君の好意だ、その手はつかんであげよう。
チック:よいしょ。ほら、つかんだよ。
 : 
0:チックが、タックの手を強く握ります。
 : 
タック:チック!じゃあ、「いちにのさん」で飛び降りるんだぞ!
チック:わかったよ、タック!
タック:いち
チック:にの
タック:さん
チック:えーい!
 : 
0:チックが飛び降りようとした時
0:突然、しなっていた笹がばいーん!となって
0:チックとタックは、勢いよく飛んで行ってしまいました。
 : 
タック:うわああああああああああ!!!
タック:笹がばいーん!ってなったああああ!!!
チック:タック!君の言うとおりだったね!!!飛ばされちゃった!
タック:手をつないでたから、俺まで飛んじゃったよ!チック!
チック:ごめんよタック!!
チック:でも、どこまで飛んでいくんだろうねえ!!
タック:ずいぶん遠くまで飛ばされてるみたいだあああ!!!
チック:わあああああ!
 : 
0:間
 : 
0:タックは、どこか知らない場所に落ちてきました。
 : 
タック:ぐへー!
タック:っと……ここはどこだ?
チック:わああああ!!
タック:大変だ!チックがこっちに……!
タック:ぐえ!
 : 
0:少し遅れて、チックがタックの上に落っこちてきます。
 : 
チック:いててて……
チック:あれ、タックはどこだい?
タック:チック……ここだよ……君のお尻の下さ……!
チック:タック!君はいつも変なところにいるね。
タック:チック、君にだけは言われたくないよ……!
タック:えっと、どいてくれないかな……!
チック:よいしょ。
チック:これでいいかい?
タック:ありがとう、チック。
タック:それで、ここはどこなんだろうね……
タック:なんだかさらさらした砂が流れてるみたい……
 : 
チック:た……タック!
タック:なんだい、チック!
チック:タック!びっくりだ!ここはあれだよ!
タック:もう、チック!
タック:君、あれじゃあわからないよ?
チック:タック!ここはほら、空の上さ!
タック:……え?空の上?
チック:タック!ここはほら!!!
チック:『あまのがわ』だよ!!!
タック:あ、あ、あまのがわあああ?
タック:あまのがわって、あの『天の川』かい?
チック:きっとそうだよ!
チック:だって、ほら、ここに流れてる砂は、
チック:小さい星のカタチをしてるよ?
チック:しかも今日は七夕じゃないか、タック!
チック:僕たちは、飛ばされて、あまのがわまで飛んでちゃったんだよぅ!
タック:な、なんてこった!
 : 
0:タックは、真ん丸なお目目をぱちくりさせて
0:ずれたハンチング帽を治しました。
 : 
タック:これは大変……というか、ロマンチックだね!
チック:でも、タックぅ。
タック:なんだい、チック。
チック:こんなこと言うと、ロマンチックじゃなくなっちゃうけど
チック:「あまのがわ」は、チーズじゃなかったんだね。
 : 
0:チックは、星の砂を少し口の中に含み
0:まずそうな顔をしました。
 : 
タック:そりゃあそうさ!
タック:もし、あまのがわがチーズだったら、おり姫様と彦星様は
タック:七月七日にチーズを食べる話になっちゃうじゃないか
チック:それはそれでロマンチックだと思うけどなあ……じゅるり。
タック:そりゃあ、チックはそうかもしれないけど……!
 : 
0:タックは、遠くの方をみて、何かに気が付きました。
0:指をさして、チックの方を見ます。
 : 
タック:あ!すごいよ!見てみなよチック!!
チック:ん?どうしたんだい?
チック:もしかして、食べられる星の砂を見つけたかい?
チック:僕がどこを食べても砂なんだ……(おくちざらざら)
タック:星の砂を食べちゃダメじゃないか!
タック:ほら、あそこさ!少し遠いけど……!
チック:なんだいタック……!
チック:……!あ!すごい!あまのがわに橋がかかってる!
タック:そうさ!ほら、今まさに!おり姫様と彦星様が一年ぶりに出会ってるよ!
チック:一年ぶりの再会かあ……すごいなあ、すごいなあ!
タック:これが、ロマンチックってやつだね……!
タック:俺の相棒のチックとは大違いさ……!(ぼそぼそ)
チック:何か言ったかい?タック。
タック:何も言ってないよ。チック。
チック:何か聞こえたけどなあ……
タック:空耳じゃないかい?
 : 
0:タックは少し、口笛を鳴らしました。
0:ぴーぷー
 : 
チック:でも、本当に……
チック:すごいところを見られたねえ、タック。
チック:僕のおかげだねえ、タック。
チック:ねえ、タック……。
タック:これはね、チック!
タック:不幸中の幸いって奴さ!
タック:こら!星の砂を食べるのはいい加減やめるんだ!チック!
チック:星の砂は、ぜんぜんチーズじゃなかったよ、タック……。
 : 
0:タックは、何かを思い出したかのように、チックに声をかけました。
 : 
タック:あ、そういえば、チック。
チック:なんだい、タック。
 : 
タック:君が短冊に書いた願い事って、結局なんだったんだい?
 : 
チック:ああ、なんだ、タック。
チック:そんなことが知りたいのかい?
タック:ちょっと気になっただけさ。
チック:えっとねえ、そうだなあ。
チック:……ないしょ。
タック:チックの事だから、やっぱりチーズの願い事だろう?
チック:さあて、どうだかなあ。
 : 
 : 
チック:「ずっと二匹で一匹でいられますように」って書いたなんて(ぼそぼそ)
チック:恥ずかしくって言えないよ、タック。(ぼそぼそ)
 : 
タック:なにか言ったかい?チック。
チック:なにも言ってないよ!
チック:さ、僕たちは、帰る方法を考えよう!
タック:ああああ!!!
タック:そ、そうだった!!!
タック:大変だ!!
タック:大変なことになっちまった!
チック:タック!落ち着くんだ!
チック:ネズミには、落ち着きが大切だよ。
チック:僕らなら大丈夫さ!二匹で考えよう。
タック:そ、そうだね。
タック:いつも、二匹でいろんなトラブルを乗り越えてきたんだ。
チック:うん!
タック:俺たちはいつだって、二匹で一匹さ!!
 : 
 : 
チック:ふふ。
チック:「めでたし、めでたし」
 : 
 : 
0:おしまい。
 : 

テキストのコピーはできません。