●チック
(男女不問)
一人称:僕
楽観主義、何とかなると思ってる。
チーズが大好き。
金色の懐中時計が宝物。
ひらめきが得意。
他の鼠より長いしっぽがトレードマーク
探偵を目指している。
タックは友人兼助手だと思ってる。
●タック
(男女不問)
一人称: 俺
現実主義で心配性であわてんぼう
昔ねこにしっぽを半分かじられて
猫が大嫌い。
茶色のハンチング帽を被ってる。
夢は探偵になること。
チックは友人兼助手だと思ってる。
二匹のネズミ
チックとタックはのんびり露天風呂に来ていました。
そこに、人間の足音が……
急いで逃げ出したいタックと
一秒でも長くお湯につかっていたいチックの
言い争いが始まります。
そして、ようやく逃げ出した先は……!
二匹のネズミが織りなす
ハイテンションカートゥーンコメディ!
「チックタックの温泉パニック!」
ジャンル:ファンタジーコメディー
時間:約20分
男女比:男:0 女:0 不問:2
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:
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0:タイトル
0:『チックタックの温泉パニック!』
0:作・★レンga★
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タック:チックタックの~!
チック:温泉!パニック~!!
:
0:間
:
0:二匹のネズミ、チックとタックは、森の中にある温泉に来ていました。
0:のんびりと露天風呂に浸かるチックと対照的に
0:タックは、大慌てで風呂の周りを走り回っています。
:
タック:おーい!チックー!チックってば!
:
チック:なんだい、タック!
チック:まったく、君はいつもいつも騒がしいなぁ
タック:チック!君がのんびり屋さんすぎるのさ!
タック:なんでこんな時に、のんびりお湯に浸かってられるんだ!
:
チック:なんでって、せっかくの露天風呂だろう?
チック:のんびりせずに何をするっていうのさ!
チック:そもそも君は、温泉でのマナーを知らなさすぎるぞ!
チック:温泉に限らず、慌てていても走ったらダメさ!危険だろう?!
:
タック:慌てずにはいられないよ!チック!
タック:だって!、、、っあ!
:
0:タックは、塗れた床に足を取られて
0:すってんころりん!
0:と、転んでしまいます。
:
タック:いったたたたっ!
チック:ほーら、言わんこっちゃない
チック:濡れた場所を走ってたら、そりゃこけるさ、タック!
チック:まったく君は世話が焼けるネズミだよー。
:
0:タックは、床にぶつけて赤くなった鼻をさすりながら
0:居心地が悪そうにしています。
:
タック:チック、君の言う通り、濡れた場所は走らない方が良さそうだ
チック:君は慌てん坊すぎるのさ
タック:でもチック!
タック:君は逆にのんびりしすぎだ!
:
0:タックは、大声をあげました。
0:チックは、露天風呂に肩までつかりながら首をかしげます。
:
チック:タック。さっきから、君はなんでそんなに慌ててるんだい?
チック:観たいドラマが始まるなら、先に行っててくれてかまわないよ
タック:違うさ!全然違うよ!チック!
チック:じゃあなんだって言うんだい?
:
0:タックは、脱衣室の方をばっと指さして
:
タック:チック!この温泉に、もうすぐ人間が来るんだ!
タック:さっき向こうで服を脱いでた!
タック:きっと大人数だよ、チック!
:
0:チックは、やれやれこのネズミは
0:と言った様子で話しかけます。
:
チック:大丈夫さ、タック!僕たち小さなネズミだろう?
チック:気付かれやしないさ!
タック:チック!それは楽観的すぎるよ!
タック:たしかに、俺たちは小さなネズミさ!もしかしたら、うまく誤魔化してバレずに何とかなるかもしれない!
チック:そうだろうとも!何とかなるさ!
チック:ほら、よくサルたちが言ってるじゃないか
チック:人間と露天風呂に入ったって!
タック:サルは別さ!彼らは半分人間みたいなものじゃないか!
チック:そうだろうかなぁ?人間に比べて、サルはずいぶんと毛むくじゃらな気がするけど
:
0:チックは、毛むくじゃらな人間と、つるつるなサルを思い浮かべて
0:少しばかり可笑しくなります。
:
タック:とにかく!一緒に入ったとして、もしうまくいかなかったら、俺たちはきっと捕まってしまうんだ!
タック:人間に捕まったら、どうなるかわかったもんじゃない!これは大変なことだ!
タック:だからチック!わかるかい?
タック:俺たちは一目散に逃げるべきなのさ!
:
0:チックは、露天風呂の端の方にすいすいと泳いでいき
:
チック:すみっこでもダメかい?
タック:すみっこでもダメだよ、チック!
タック:ほら、そこの岩に置いてある懐中時計を持って!
タック:早く服を着るんだ!
チック:タック、君は何を言っているんだい?
チック:僕たちはいつも服なんか着てないじゃないかー!
タック:そうか!どおりで探しても見つからないわけだ!うっかりしてたよ、チック!
チック:まったく!タック、君は慌てん坊だなぁ!
:
0:チックは近くの岩場の懐中時計を手に取り
0:しぶしぶ、露天風呂から出ることにしました。
:
チック:よっこらせっと
チック:ほら、名残惜しいけどお湯から上がったよ
タック:君ならわかってくれると思ってたよ!
タック:さあ、逃げよう、チック!
チック:ところで、タック
チック:君はどうやって、あの人間たちから逃げる気だい?
タック:それはもちろん、外に飛び出すのさ!
タック:俺たちがいるのは、露天風呂だろう?
タック:ほら、すぐ向こうに走っていけば、施設の外に出れるはずさ!
:
0:チックは、手をポンと叩きます。
:
チック:なるほど、確かにそうだね
チック:タックにしてはちゃんと考えてるじゃないか〜!
タック:そうさ!俺はちゃんと頭も使えるネズミなのさ!
タック:ほら、ぐずぐずしてるとすぐに人間たちが来てしまうよ
:
0:チックは、大したことではなさそうに
0:更衣室の方を指さしました。
:
チック:タック、もう数人入ってきてるよ
タック:ええー!?!?
タック:ほ、ほんとうだ!いつからだい!?
タック:早く言ってくれよ!チック!
タック:どどどど、どうしよう!逃げなきゃ!早く逃げなきゃ!
チック:タック、落ち着きなよ〜
チック:まだ見つかってないんだからさ、ゆっくり逃げれば大丈夫だよ
タック:こ、こっちに逃げよう!
:
0:タックは大慌てで、すぐ近くにあった塀を指さします。
0:黄色く細い竹を、緑色のひもでくくって作られているようで
0:紐に手をかければ、普通のネズミならいともたやすく登れることでしょう。
:
タック:この竹でできた塀を登れば、人間たちは来れないはずさ!
タック:外に逃げただけだと、追いかけられるかもしれない!
チック:タック!今日の君は頭が冴えてるね!
チック:それはいいアイデアだけど……
チック:僕は、壁を登るのがちょっとばかし苦手なんだよね
:
0:チックが少し恥ずかしそうにそう言うと
0:タックは自信満々で声を上げます。
:
タック:わかった!じゃあ、俺が下から押してあげるから!
タック:それならチック、君も登れるだろう!?
チック:あんまり強く押さないでおくれよ?
チック:君は慌てると、加減がわからなくなるからね
:
0:タックは、腕を回して軽くストレッチをした後
0:小さくぴょんぴょんと跳ねました。
:
タック:よーし、いくぞー!
チック:タック?僕の声、聞こえていたかい?
タック:いちにのさんで、押し上げるからね!
チック:タック!タック!聞いていたかい?頼むからゆっくり押しておくれよ?
:
タック:いち!
チック:タック!聞こえてるなら返信をしてくれ!
タック:にの!
チック:タック!大丈夫かい?タック!
タック:さーん!
チック:タック!?
チック:ああ!そんなに勢いよく押したらっ!!!
タック:そーーっれ!
チック:塀を飛び越えちゃうよぉおおお!!
:
0:タックにお尻を押され、塀を勢いよく上ったチックは
0:その勢いのまま、塀の向こう側へ飛んでいきました。
:
チック:わああああああああああああ!!!
タック:とりゃあああああああ!!!
:
0:じゃぽん
0:チックは、塀の向こう側にもあった
0:露天風呂に頭から落っこちてしまいました。
:
タック:っと!塀のてっぺんまで来たぞー!
タック:チック、どうだい?あっという間だっただろう?
タック:あれ?チック?どこに行ったんだい?
タック:おーい!チックー!チックってばー!
:
0:タックは塀の上から、チックを探して大声を上げます。
0:ぶくぶくと音がして、露天風呂の水面下から
0:チックが浮いてくるのが分かりました。
:
チック:(お湯から上がってきて)……タック!ここさ!塀の向こう側だよ!
タック:わあ!チック!なんでまたお湯に入ってるんだい!?
タック:しかもそこは、女湯じゃないか!!!
:
0:女湯です。
0:タックは少し恥ずかしくなってしまいました。
:
チック:タック!!君が勢いよく押すもんだから
チック:塀のこっち側まで飛ばされちゃったんだよ!
チック:だからこれは君のせいさ!タック!
タック:わわわ!
タック:それは本当かい、チック!
:
0:本当です。
:
タック:ごめんよ!チック!そんなつもりじゃなかったんだ!
チック:まったくもう!びっくりしたよ!
チック:落ちた先がお湯でよかった!
チック:石だったら、気絶してたかもしれないよ!まったく!
:
0:チックは、あきれたような表情をしましたが
0:少しでもまた、露天風呂に浸かれて満足しているようにも見えました。
:
タック:本当にごめんよ!
タック:俺もそっちに降りるから、一緒に逃げよう
チック:まだ逃げるのかい?
チック:せっかくこっちにもお湯があるんだから、ゆっくり浸かってしまおうよ
タック:ななななな、何を言ってるんだい、チック!!!
タック:君は周りが見えていないんだね!
チック:ん?どういうことだい?
タック:君の周りに、たくさん人間の女の子がいるじゃないか!!
:
0:女の子の悲鳴が聞こえます。
0:女湯に入り込んだ二匹のネズミを、誰かが見つけてしまったのでしょう。
0:女湯が、バタバタと騒がしくなるのが分かりました。
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チック:わわわ!気づかなかった!
タック:よっと!降りてきたよ!チック!
タック:ほら、この手に捕まって!早くお湯から上がるんだ!
:
0:タックが、お湯の中にいるチックに手を伸ばします。
:
チック:ありがとうタック!
チック:よっこいしょっとぉ!
タック:ささ、早く逃げなきゃ!人間の女の子に捕まっちゃうよ!
チック:今度こそ、外に逃げよう、タック!
タック:そうだね、チック!外に逃げよう!
:
0:と、その時
0:タックめがけて、何かが飛んでくるのが分かります。
0:それはおそらく、歯ブラシのようでした。
:
タック:わあ!何か飛んできた!
チック:女の子が僕たちに向かって、石鹸とか桶とかを投げているのさ!
タック:チック!当たらないようにちゃんと避けるんだよ!
タック:よっと!
チック:だ、大丈夫さ、問題ないね!
チック:よよいっと!
タック:本当かい?君はのんびり屋さんだから、あたっちゃうんじゃないかい?
タック:ひょいっと!
チック:あ、タック!危ない!石鹸が!
タック:……え?
タック:わあっ!避けなきゃ!
チック:ジャンプだよ!
タック:よっ、、、わああああああ
:
0:タックは石鹸をよけようとジャンプしますが
0:ちょうど着地するタイミングで、石鹸の上に載ってしまいました。
0:勢いのまま、石鹸はタックを乗せて
0:高スピードで滑っていきます。
:
タック:石鹸に乗っちゃったよ!!!
タック:すごいスピードだあああああ!!!
チック:タック!僕の手を取るんだ!
タック:ありがとうっ!
:
0:手を取るタイミングで
0:チックはうっかり、石鹸に乗ってしまいました。
:
チック:わあああああ!!!僕も一緒に乗っちゃったよおおお!!!
タック:大変だ!大変なことになった!!
チック:このまま外に投げ出されちゃうよ!!!
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チック:わあああああああああああ!!!!(同時
タック:わあああああああああああ!!!!(同時
:
0:ドンガラガッシャーン
0:と、いう音は聞こえませんでしたが
0:そんな音が聞こえてきそうなほどの勢いで
0:二人は露天風呂の外に飛ばされてしまいました。
:
0:間
:
0:先に意識が戻ったタックが
0:チックの肩をゆすります。
:
チック:うう…
タック:チック、チック
タック:大丈夫かい、チック
チック:タック、大丈夫かい?
チック:タック、僕の声が聞こえるかい?
タック:ああ、よかった
タック:どうやら僕たち、外の草むらがクッションになって
チック:どうにかなったみたいだね
:
タック:慌ただしかった、全然ゆっくりできなかったね、チック
チック:その通りだよ、タック。全然ゆっくりできなかった
チック:だからその分、何かでゆっくりするべきだと僕は思うのさ
タック:チック、何をする気だい?
チック:そうだなぁ
チック:お風呂はもうこりごりだし
チック:しばらくこの草むらでゴロゴロするってのはどうかな?タック
:
0:タックは、それはいいアイデアだと手をポンと叩きました。
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タック:チック!君にしては、やけに平和的な提案だね!
タック:俺も、それがいいと思うよ!
タック:ほら、夜空がとてもきれいだし
タック:大きな三日月だって、こっちを見てるよ、チック!
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チック:美味しそうだねえ
タック:そうだね、チック。
タック:なんだか、今日は俺も
タック:チーズを食べたくなってきたよ
:
0:タックがチーズと口にすると
0:チックは目をまんまるにして、タックを見つめました。
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チック:チーズ……?
チック:チーズ、チーズ
タック:チック?どうしたんだい?
チック:チーズ!そうだ!チーズだ!
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0:チックは、寝転がっていた身体を
0:ばね仕掛けの人形のように、ビョインと起き上がらせます。
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タック:チック?ばっと起き上がって、どうしたのさ、なんだか怖いよ?
チック:タック!大変だ!
タック:な、何が大変なのさ、チック!
チック:僕、今日、チーズを食べていないよ!
チック:チーズを食べなきゃ!
チック:僕は、チーズを探してくるよ!!
チック:きっと、温泉チーズがあるはずさ!
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0:チックは、周りをきょろきょろと見回し
0:くんかくんかの匂いを嗅ぐと
0:先ほどいた温泉の方に、一目散に駆けていきました
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タック:チック!のんびりするんじゃないのかい!?
タック:ゴロゴロするんじゃないのかい!
タック:チック!チックってばー!!
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タック:チックゥゥゥゥゥゥ!!!!!!
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0:タックの大きな呼び声は、夜の森に響き渡り
0:眠っていた三日月が、うるさそうな顔をして目を覚まし
0:もう一度、眠りにつきました。
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0:おしまい
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