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TRPGプレイヤーのレンgaです!
@rengatrpg
今回のシナリオフックは主に【ホラー系システム】で使える、
“ソリッドシチュエーション”
『PLが2~3人』 『2~3時間程度のセッション時間』で、『一風変わったシナリオ』を書きたい方におすすめです!
“ソリッドシチュエーションスリラー”にすることで【クトゥルフ神話TRPG】では大活躍すると思います。アイデア1つで個性的で濃厚なシナリオを書くことが出来ますので、ぜひ活用してください!
『ソリッドシチュエーション』ってなに?
さて、そもそもこの単語、知ってる人は知っているとは思いますが、どういった意味合いなのかをしっかりと知っている人は少ないと思います。
[ソリッド]堅固・硬い
[シチュエーション]小説・劇・映画などで、筋を展開させるために設定された状況。
つまり、”極めて限られた設定(硬い)の状況”のことを言います。
もっとも有名なソリッドシチュエーションの映画に『SAW』がありますね。
『SAW』はソリッドシチュエーションの中でもスリラーのジャンルになります。一番良く耳にする『ソリッドシチュエーションスリラー』というやつですね。
他にも『CUBE』や『パニックルーム』『ATM』などのスリラー映画が、ソリッドシチュエーションの技法を使っています。
こうした有名な映画のシチュエーションを例とするのが一番わかりやすいと思うので、 まずは『SAW』の紹介を軽くしようと思います。
SAW-ソウ-
目が覚めるとそこは老朽化したバスルーム。部屋の中央には死体。対角線上には足を鎖でつながれた2人の男、ゴードンとアダム。
Wikipedia
犯人が突如として始めたゲーム。「君たちは死につつある」「6時までに相手を殺すか、自分が死ぬか」。
与えられたのは、謎の猟奇殺人鬼「ジグソウ」からのメッセージが入ったカセットテープとテープレコーダー、弾丸1発、タバコ2本、着信用携帯電話、ノコギリ2本、写真。2人は犯人が部屋に残したヒントを手掛かりに、脱出しようとする。
限定的な状況下(ソリッドなシチュエーション)で行われるデスゲーム系の映画ですが、この映画の面白さはこの限定的な状況というのを最大限活用しているところになります。
クトゥルフ神話TRPGを知っている方なら『目が覚めたらそこは知らない場所だった~』という導入に覚えがあると思います。密室系シナリオの1つの典型ですよね。
SAWのように様々な視点から描くのはTRPGでは難しいですが、比較的短時間のセッションに向いた密室系のシナリオとはとても相性が良く、無限大の応用力があります。
他のソリッドシチュエーション映画
その他のソリッドシチュエーションの映画を軽く紹介しますね!
『フローズン』
スタッフの不注意で真冬のスキー場でリフトの上に取り残された3人の男女の脱出劇を描く。
実際にありそうなシチュエーションなのが怖い。
『ATM』
無人のATMを訪れた3人組の前で男が殺される。幸いATMには鍵がかかっており男は中に入れないが、3人も外に出られない。
シンプルだけど極限状態なのが面白い。
『オープンウォーター』
カリブ海でバカンスにダイビングを楽しんでいたワーカホリック夫婦は、ツアースタッフの不注意で海上に取り残されてしまう。残りタンクは残りわずか、周囲には無数のサメ…
本当にあった実話を映画化したとか。不注意しないで。
『CUBE』
「CUBE」と呼ばれる、トラップだらけの謎の空間に閉じ込められた男女6人の脱出劇を描く。CUBEのトラップにはまると、命を落とすことになる。
ボードゲーム「ルーム25」の元ネタですね!
TRPGにおけるソリッドシチュエーションの良いところ
様々ありますので、まずは箇条書きにしてみますね。
- パッケージがまとまる(全体の雰囲気が統一される)
- トレーラーが書きやすくてインパクトがある
- セッション時間が短く濃厚
- アイデア次第で無限大にシナリオが書ける
- PC同士の関係性を作りやすい
どれも魅力的な要素ですよね!
それでは、それぞれの良い点を、細かく解説していきます!
①パッケージがまとまる
ソリッドシチュエーションでは、あれもこれもは起きません。
1つの大きなトラブルを中心に話を進めていきますので、まとまりがとても良くなります。
僕の書いたクトゥルフ神話TRPGのシナリオに『トイレ』と言うものがあるのですが……
ファミレスの男子トイレに入っていたら、突然店内が騒がしくなり、いくつもの悲鳴が聞こえ始める。そんな中、男子トイレの中に1人のローブをまとった少女が駆け込んでくる――。
例としては微妙かもしれませんが、このシナリオは男子トイレとファミレスの店内しか場面がありません。内容もシンプルで、”トイレの外で何かが起きてるのをトイレの中からなんとかする”話です。
ソリッドシチュエーションにすることによって、限定的な状況がそのままパッケージとなるので、タイトルやトレーラー、セッション中も『これは結局どういう話なんだ?』と言うことにはなりにくくなるのです。
『どういう話なのか』がわかりやすいのは、シナリオに没入するためにとっても大切なことです!
それがぱっと見で理解出来るようなシチュエーションにするのが、ソリッドシチュエーションのシナリオを書く大きなポイントですね!
② トレーラーが書きやすくてインパクトがある
ソリッドシチュエーションのシナリオは、トレーラーが書きやすいです。
また自分のシナリオなのですが、クトゥルフ神話TRPG『断罪のメモリールーム』のトレーラーを例としてみましょう。
――目が覚めると、知らない部屋。
――同じように倒れた4人。
――そびえたつ像と、赤く輝く魔方陣。
ここはどこだ。
自分は、誰だ。
記憶を失った5人。
どうやらこの中の
2人が魔術師、2人が生贄。
そして――1人が、いないはずの誰からしい。
あなたは、失った記憶を取り戻し
自分の役割を果たすことができるのか。
クトゥルフ神話TRPG 『 断罪のメモリールーム 』
――その罪は、一体誰が裁くのか。
『記憶を失った5人のうち、2人が犯人で2人が被害者、あと1人は誰?』というシナリオです。
映画『UNKNOWN』をモチーフにして書いたシナリオなのですが、トレーラーがめちゃくちゃ書きやすくて、なおかつ状況設定が特殊なのでインパクトもあると思います。
このように、状況設定さえ決まってしまえば、簡単にトレーラーを書くことができ、なおかつ人の目を惹くインパクトのあるものになるでしょう。
ソリッドシチュエーションの最も素晴らしいところの1つだと思います。
③セッション時間が短く濃厚
設定によってセッション時間が長くなってしまうこともあるとは思いますが、基本的に短時間のセッションになることが多いです。
あれもこれも起きるのではなく、1つの限定的な状況を突き詰めていくので『どうやったらこれを解決出来るのか』を考えることがメインとなり、シナリオを進めて行くことになりますから、結果的に濃厚な時間を過ごすことになります。
短くも、分岐を多く作ることによってマルチエンディング(TRPGは基本的にマルチエンディングな事が多いですが)にすることも出来ますし、作り方次第ではキャンペーンシナリオも可能です。
普段はあまりやらないとは思いますが【SW2.5】などのファンタジー系システムでも、ソリッドシチュエーションを使うことでいつもと違う体験が出来ると思いますし、短時間で出来るのでキャンペーンの合間に挟んでも良いかもしれませんね!
1つのシチュエーションにのめり込ませてしまえば、PLはすごく動きやすいし、GMの管理もしやすくなります!
通常の密室系に、特別な状況をプラスするだけで大きく色が変わってくるので、オリジナリティあふれるシナリオになりますね!
④アイデア次第で無限大にシナリオが書ける
どんなシナリオも根本を言えば同じなのですが、特にソリッドシチュエーションはアイデア勝負です。
自分が直感的におもしろそう!と感じたシチュエーションに肉付けをしていくと簡単にシナリオが書けちゃうかもしれません!
初めは密室系のアイデアから考えると面白いと思います!
- どんな人達が集められているの?
- どんなところに集められているの?
- どんな目的で集められたの?
- 集めた犯人はどんな人なの?
- これからどんなことが起こるの?
追々、アイデアの発想法も記事にしていこうと思いますので、お待ちください!
⑤ PC同士の関係性を作りやすい
同じ限定的な状況に追い込まれているので、関係性がとても作りやすいです。
その関係性が友好なものか敵対的なものかは置いておいて、何かしらの感情を相手に持つことが出来る場面が多いでしょう。過去設定などを後付けでも他のPCとつなげれば、心理描写もあいまって濃厚なRPが出来ます。
シナリオを書くときに、そのあたりに余裕を作ってあげると、PLが発想して過去を作ったり出来るのでおすすめですね。あらかじめ過去を決めておくというのも良いと思います。
そんなときに頼りになるのが『ダブルハンドアウト』
クトゥルフ神話TRPGでも、あらかじめPCナンバーを決めておいて、それぞれに特殊なハンドアウトを配ることで、PCの過去に設定を付与させることが出来ますね。
シナリオアイデアに困ったときに。
シナリオを書こうと思い立ち、手詰まりになってしまったとき
もともと考えていた大まかなシナリオの大枠の中で、どこかを限定的にすることですんなりとシナリオを書く手が進むことがあります。
あれもこれもやろうとしていませんか?
それは簡単なことではありません。様々な選択肢を考えるよりもまず、何か1つを特徴的な、限定的なものにして、そこから話を膨らませてみましょう!
『何がしたいか』を突き詰める事で、糸口が見つかりますよ!
悩んだら『ソリッド(限定的)』にしてみましょう。
それが解決の近道です!
最後に
少しでも、創作活動の手助けになれればこんなに嬉しいことはありません。
素敵なTRPGライフをお過ごしください!