ボードゲームレビューです。
今回は、僕の一番好きなボードゲーム『ワンス・アポン・ア・タイム / Once Upon A Time』を紹介しちゃいましょう!
作者 | Richard Lambert, Andrew Rilstone, James Wallis リチャード・ランバート、アンドリュー・リルストーン、ジェームズ・ウォリス |
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人数 | 2-6人 |
時間 | 30分 |
種別 | カードゲーム |
ポイント | TRPGプレイヤー好み・2人OK・好み分かれる |
ゲーム難度(5段階) | 4 |
評価(10点満点) | 10 |
最高に面白いゲームなのですが、最高に人を選ぶゲームです。
人を選ぶゲームは数あれど、「好きな人は好き・無理な人は無理」がここまで顕著に出るゲームはさほど多くはないのではないでしょうか?
端的に言えば”物語を紡ぐゲーム”です。
この時点で難しい表情をした人は、きっと頭を悩ませてしまうものでしょう。しかし、この時点で「お!物語を紡ぐゲームだって!?」と食いついたあなたは、きっとこのゲームを最大限楽しむことができるはずです。
という疑問ももちろん出てくることでしょう。
安心してください、正しくルールを表現すれば
”物語を紡ぐ権利を奪い合いながら、条件を満たし、特定のエンディングに先に到達した人が勝ち”
となりますから、ちゃんとゲーム性があると分かりますね。
TRPGみたいな感じと違って、ちゃんと対戦型のゲーム構造をしていますよ!
それでは、ルール説明に移りましょう!
ルール
目的
手番プレイヤーは手元の物語カードに書かれた要素を使って物語を作り、それを皆に話します。
誰かが語る途中で、他のプレイヤーはその物語に割り込みむことができ、物語を語る権利を奪うことが出来ます。
割り込んだプレイヤーは、それまでの物語を受け継いだ形で、自分の結末カードに向けて物語のつづきを語ります。
物語カードを使い切ったプレイヤーは最後に結末カードを出し、物語を終わらせることができます。
最初に物語を終わらせたプレイヤーが勝利します。
プレイヤーの最大の目的は、手札の物語カード全てを使い、結末カードで物語を終わらせることです。
準備
物語カードと結末カードの2種類を別々によく混ぜ、山札にします。
(物語カードには、普通のカードと割込カードの2種類がありますが、これらは一緒に混ぜます)
各プレイヤーに、結末カードを1枚、物語カードを(11-人数)枚、それぞれ配ります。
(例:5人で遊ぶとき、物語カードは8枚になります)
残った結末カード、物語カードの山札は場に置きます。
手番プレイヤーの『語り』
スタートプレイヤーを決めたら、そのプレイヤーから語り手となって物語を語り始めましょう。
(おとぎ話風に語り始めるとやりやすいですが、冒頭で突然「20XX年~」と始めると物語全体のテイストが変わります。慣れてきたら試してみてください)
- 「むかしむかし~」
- 「あるとき~」
- 「それは○○の時だった~」
- 「ある晴れた日の朝~」
物語を語り始めたとき、1文に1枚、その話に関連する物語カードを手札から場に出します。
上の画像が物語カード。
「できごと」「もの」 「ばしょ」 「ようす」 「じんぶつ」 の5種類あります。
物語カードはその文に登場し、かつその文の主要な要素でなければなりません。
無関係なカードや、重要でない要素のカードは、出すことができません。
例)
『昔々あるところに、湖に囲まれた大きな城に住む、美しいお姫様がいました』
→このとき「湖」「城」「お姫様」などのカードを出せます。
※1文に1枚なので、3枚とも出すことは出来ません。
例)
『ある日、1匹のとても小さな妖精が、森も湖も城も飛び越えて、少年のいる街までやってきました』
→このとき「森」「湖」「城」等のカードは、登場してはいますが、重要な要素ではないので出す事が出来ません。
出したカードは、場の中央に、順番で表向きに並べておきます。
こうすることで、どんな物語になっているかを確認できます。
物語カードを出さずに、物語を続けることも出来ます。
自分の物語カードが出せるように、物語をつなげ、語っていきます。
(この物語カードを出さずに語る時に、他プレイヤーからの割り込みのリスクが発生します。しかし、この語りがないと物語がハチャメチャなことになってしまうだけでなく、割り込む隙が無くなってしまい、ゲーム性が損なわれてしまうので、積極的にリスクを負って行った方が面白くなるでしょう)
パス
カードが出せない、物語のつづきが見つからないなどの理由から語ることが出来なくなってしまったとき、語り手はいつでもパスをすることが出来ます。
パスしたら、 物語カードの山札から1枚引き、その後手札を1枚捨てる事が出来ます。(捨てなくてもかまいませんその代わり手札が一枚増えてしまいます)
そして、左側のプレイヤーが次の語り手となります。
新たな語り手は、前の語り手が紡いだ物語のつづきを語りましょう。
他のプレイヤーから『割り込み』
他のプレイヤーは、2つの方法で物語に割り込むことで、新たな語り手となることができます。
これをどんどんしていくことで、相手の物語を紡ぐ権利を奪っていくのです。
パスを待っているだけでは面白くないですものね!
- 物語カードによる割り込み
- 割り込みカードによる割り込み
この2種類があります。
①物語カードによる割り込み
「語られた物語の要素の中に、自分の手札の物語カードと一致するものがあれば、割り込むことが出来ます」
語られた物語の中に、どこか自分の物語カードと一致する要素がでてこれば、カードを出して割り込むことが可能です。主要なカードで無くてもかまいませんし、厳密に同じで無くてもかまいません。おおむね一致していれば、割り込むことが出来ます。
例)
『王子は食堂を出るときに、運良く鍋の中に好物のオニオンスープがあることに気がつきました』
→このとき「幸運な」のカードがあれば、割り込むことができます。
割り込みの宣言をして、それが他のプレイヤーに認められれば、割り込みをしたプレイヤーがあらたな語り手となり、物語のつづきを語る権利を得ます。
一方、割り込まれてしまったプレイヤーは、物語カードを1枚引かなければいけません。
(パスの時とは異なり、手札を捨てることは出来ません)
他のプレイヤーに認められず、割り込みに失敗してしまった場合は、割り込みに使用しようとしていたカードを捨て札にして、さらに山札から2枚引かなければいけません。
②割り込みカードによる割り込み
語り手が出した物語カードと『分類』が同じ『割り込みカード』があれば、それを出して割り込むことが出来ます。
物語カードには、5種類に『分類』分けすることが出来ます。
「できごと」「もの」 「ばしょ」 「ようす」 「じんぶつ」 となっており、
それぞれに対応する『割り込みカード』と呼ばれる特別なカードがあります。
語り手の出した物語カードの分類と、手持ちの割り込みカードの分類が同じ場合、その割り込みカードを出すことによって、語り手を引き継ぐことが出来ます。
このとき、語り手の語る物語に 『割り込みカードの要素』 が登場している必要は無く
引き継ぐ物語に『割り込みカードの要素』を登場させる必要はありません。
例)
『そして魔女と王子は禁断の恋に落ち、洞窟から出る算段を建て始めたのです』
→語り手がここで「恋に落ちる(できごと)」のカードを出す。
このとき、「できごと」の割り込みカード「救われる」を手札から出し、割り込むことができます。
(次の語り手は、この「救われる」を、続く物語で使う必要はありません)
①と同じように、割り込まれてしまった語り手は、物語カードを1枚引かなければなりません。
その時手札から1枚捨てることは出来ません。
割り込みカードは『割り込みに使える』というだけで、通常の語りにも使用出来ます。
もちろん、①の『物語カード(要素)による割り込み』に使用することも出来ます。
異議申し立て
異議申し立て、と言うルールも存在します。
- 矛盾している(例:死んだはずのキャラクターが理由無く生き返る)
- 迷走している(例:同じ話が何度も続く。舞台がコロコロ変わる)
- ナンセンス(例:おとぎ話風の話の途中で、味噌汁は赤味噌か白味噌かの論争が起きる)
- 物語と関係ない(例:怪しげな魔女が暗がりから現れたが、その語全く関与しない)
- 話が止まった(例:「あの、えっと、あれだよあれ、それがこうなるんだよ、ほら、わかるでしょ?」)
このようなことが起きてしまった場合、他のプレイヤーは異議を唱えることができます。
異議が他のメンバーに認められたとき、語り手は割り込まれたときと同様に、物語カードを山札から1枚引きます。
また、最後に出していていた物語カードが内容にふさわしくないとされた場合、そのカードも手札に戻す事になります。
ここから分かるように、他の人の物語もしっかりと聞いて、伏線や物語の要素を回収しながら、つじつまの合う物語を作らなくてはいけません。
ココが、このゲームの最も面白いところですね!
自分だけで好きなように物語を紡ぐだけで無く、今まで他の人が紡いだ物語を自分の物語にしていく、と言うところが、難しいけど面白いところです!
結末
手札の物語カードを全て出した語り手は、結末カードを公開して物語を終わらせます。
たとえ物語が結末カードから離れていたとしても、最後は必ず手持ちの結末カードで終わらせなければいけません。
最初に結末カードはわかっているものですから、手持ちの結末を踏まえて冒頭から物語を展開していく必要があります。
手札の物語カードを使い切り、結末カードを公開して物語を終わらせたとき、結末がふさわしいと他のプレイヤーに認められたとき、その語り手がそのゲームの勝者となります。
もし、認められなかった場合、語り手は結末カードをす手札にして新たに1枚引いて、さらに物語カードも1枚引きます。
その後、語り手を左隣のプレイヤーに移して、次の語り手となります。
手順の早見表
準備 | 物語カードを(11-人数)枚、結末カードを1枚配る。 |
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語り | 『1文につき1枚』物語カードを出せる。出さなくてもよい。 |
パス | 物語カードを1枚引き、1枚捨てる事が出来る。左隣に語り手が移る。 |
割込 | 『同じ要素の物語カード』か『同じ分類の割込カード』を使う。 成功したら、『前の語り手は物語カードを1枚引く』 失敗したら、『割り込んだプレイヤーはそのカードを捨て、物語カードを2枚引く』 |
異議 | 認められたら『前の語り手は物語カードを1枚引く』 最後のカードが認められなければ、それも引き取る。 認められなければ、そのまま語りを続ける。 |
結末 | 認められたら『そのプレイヤーの勝利』 認められなければ『結末カードを捨てて新たに1枚引き、物語カードも1枚引く』 |
感想と、好きなところ
このゲームの最も面白いところは、ルール説明中にも言ったとおり
他のプレイヤーから物語を奪ったとき、その物語を最大限リスペクトする事で、物語が融合して思いがけないストーリーを楽しめる事が出来る。
ところです。
自分本位でもいけませんし、ルールにあまりにがっちり縛られすぎても楽しめません。勝つことに固執しすぎると面白みが減ってしまう、なんともそのあたりが難しいゲームだったりします。
しかし、そのぶん面白さは絶大です!なんどでも楽しむことが出来ますし、決して同じ物語は生まれません。『魔女』という物語カード1つでも、物語の流れ次第ではどんな『魔女』にでもなり得るのですから、無限大に広がる物語を、勝負しながら作り上げることが出来ます。
誰かが勝者とはなりますが、ゲームが終わった後に感想戦が出来たり
と言ったような話をすることで、盛り上がることが出来ますし、特徴的なキャラクターは記憶に残ります。
思い出に残ることが出来るボードゲームが、きっといいボードゲームなのだと思います。
そう考えると、このゲームは間違いなくいいボードゲームですし、きっといつまでも遊ぶことの出来る宝物のようなものだとも思います。
今でもこのボードゲームの箱を見るだけで、今までいろいろなところで、様々な人達と作った物語が思い出されます。高校の同級生や、劇団のメンバー、ボドゲカフェの常連さんたちなど、どの人達と遊んでも、テイストの違ったおもしろい物語が生まれました。
確かに、人を選ぶゲームだと思います。
しかし、一度の体験で、すばらしい思い出を作ることの出来るゲームです。
ぜひ一度、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
ワンス・アポン・ア・タイム /商品情報
ワンス・アポン・ア・タイム (日本語版)
これが基本セットです。これが1セットあるだけで、いくらでも遊べます。
物語カードが増える拡張セットが2種類出ています。
ワンス・アポン・ア・タイム 日本語版 拡張セット1「魔法の物語/海の物語」
こちらは魔法と海洋の要素が追加された拡張セットです。
魔法の物語は白雪姫やシンデレラなどを、海の物語はシンドバッドなどをモチーフとしています。
ワンス・アポン・ア・タイム 日本語版 拡張セット2「騎士の物語/動物の物語」
騎士道と動物の要素が追加された拡張セットです。
騎士の物語は勇敢な騎士と探索などを、動物の物語は知恵者のふくろうや悪巧みをする狼などをモチーフとしています。